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最近はるさんが説教くさい。

「パパ、はよかえってこーへんかったら、はるくんおこるで!」
「パパ、ちゃんとべんとうたべへんかったら、おおきくならへんで!」

どれもこれも彼なりに筋が通っているから返答につまってしまう。
幼稚園やそこらのこどもでもこれほどに弁が立つのなら、
もっと大きくなったらどうなるのかと先が思いやられる日々だ。

ところで、僕の父は、わからないことがあれば躊躇いなく僕に質問するような人だった。
中学のときに「じ」と「ぢ」の違いや使い分けについて聞かれたことさえある。
当時は、なぜそういうことも知らないのか、
なぜこどもにきくのか、とひとりよく首をひねったものだ。

それから月日は流れ、未だに信じられない時もあるけれど、僕も父親になった。
昔は不思議で仕方がなかった父のそんな態度も、今ではなんとなく理解できる。

なぜなら、支離滅裂で脈絡のないことしか喋らなかったこどもたちが、
言葉の使い方や状況を読み取ることを覚え、
今や大人とまったく対等な会話ができるようにまでなったからだ。
こちらは、まだまだこども、と思っているから
繰り出される言葉とのギャップにたまに面食らったりする。

そのうちきっと僕もこどもたちにいろんなことを訊ねるだろう。
そしてかつての僕がそうだったように、彼らも不思議に思うだろう。
父はなぜそんなことをこどもにきくのか、と。

そのせいで僕は、威厳のようなものを失うかもしれない。
それはちょっぴり残念な気もするけれど
もしかしたら父親はそれくらいの存在でもいいのかもしれない。

少なくとも僕はこどもたちからこんなふうに
いろんなことに気付かされ、教えられている。
そう思うと、改めて考えるまでもなく、
最初から僕らは対等な関係だったのかもしれない。

これからも僕は説教されて困ることになるかもしれない。
それでも、こうやってあの頃の自分と父の関係を今に重ねてみると、
僕ら親子がどんなふうになっていくのかがとても楽しみに思える。

さて、たまには怒られないように早く家に帰らないと。